2003年10月 波瀾万丈新山神社祭典の巻
いやー今年の新山神社祭典はハプニング続出でした。
天候にも恵まれ、私たちはいつものごとく準備をします。それで、道具を広げて物品のチェック、全部あることを確認し!!あれっ太鼓の台がない?!!なんで・・・前回の水浜の祭典まではあったのに?ってことは、、、一同がっくり、その水浜地区の神社に忘れてきたんですねぇ・・・まぁ時間もあることだし、取りに行くことにしました。
私と先輩二人は車で水浜へ取りに行くことにしました。それを車に積んで、帰路につきます。その時、先輩の携帯が鳴りました。何だろうと?電話にでると、竹が足りないということでした。要するに竹切ってこいということなんですね。
いそいそと竹を切って楽屋に戻りました。
今回は「叢雲」を舞う予定なので、舞台のセッティングがちょっとばかり面倒です。この神楽で使うオロチをつるために舞台の上に滑車や、ワイヤーを取り付けなければなりません。私は入門してから(平成13年1月)、この神楽はまだ3回しか舞っておらず。準備が面倒なのも、その原因の一つかもしれません。今回の新たなる試練として、この準備を若者5人だけでやってみることになりました。もっとも大変なのは、真剣で、オロチを吊っているワイヤーを切るので、その時に頭が取れるようにすることです。はっきり言って自信がなかったので、若手の中の先輩にそのほとんどをまかせてしまいました。
何とか時間内に準備ができ、いよいよ「新山神社祭典、神楽の部」がはじまりました。
今回は、岩戸開、所望分、五矢、日本武尊、道祖、橋引、魔王、蛭子、鬼門、笹結、叢雲、産屋の12番でその内、私舞ったのは、岩戸開の国津神、所望分の天合の尊、橋引の人夫、魔王の魔王その3、蛭子の買いうけ人、笹結の尊の6番でした。今回の中で特にお気に入りだったのは、笹結の尊役です。なぜかというと、今回の出番の中で、唯一の主役を舞えたからでした。この神楽は、国生みの物語で、日本の国土を造ったが、その島に悪鬼が住み着き大変困ったので成敗したというとてもわかりやすいストーリーで、舞台から飛び出し、地区を回って五鬼王をと戦います。いつもは五鬼役なのですが、そろそろやってみなさいの声に喜び勇んで舞台にでました。とても楽しいひとときでした。今回の笛太鼓は自分を中心に演出してくれているという勝手な錯覚の中、いざ舞台へ・・一通り舞って、カンナギ「天神七代目ー・・・・」おお!!順調だぁーこりゃ行けるかも・・・「・・・・退治ー申さんやのー」3年目にしてやっと言えたこのセリフ、今もところは順調・・このまま一気に舞台を降りて、駆け回って、戻ってきていざ成敗!!んー順調にこなして無事幕を迎える。面を取って一言「おっ踊れました。」すると会長が「ああ、やれると思ってました。」・・・・・・・・・この一言を私なりに解釈するに、一連の基本とされている舞をきっちりやっていれば、自ずと舞えるようになるってことでしょうか?まぁ、「次からもよろしく」といって頂けたので、何とか及第点だったのでしょう。
そんなこんなで舞台は進み、次は叢雲の番です。若手達はオロチを準備し、舞台が始まりました。神話の中でも有名な八岐大蛇、特に出雲系の神楽でその名をはせている演目を、どういういわれか東北の片田舎で舞っている。ちょいと不思議な光景です。
さて、いよいよオロチが登場!!ここぞとばかりに暴れまくりました。その瞬間、オロチの頭が胴から離れてしまったのです。この神楽の見せ場はなんと言ってもスサノウの尊がオロチの首を取るところにあります。それなのに、先にオロチの首が取れてしまったのでした。一同困り果てていたその時、先輩の一人がオロチの頭をまるで獅子舞の頭のように持ち、舞い始めたのです。会場がどよめきました。とっさの判断もさることながら、尊は面をつけて視界も制限されていて、その上真剣を振り回して舞っている舞台に、人間がアドリブで上がって舞台を進行しているのです。まぁ、尊役は大ベテランの先輩で、十分安全を配慮して舞っているのですが、一同ヒヤリとした瞬間でもあり、その行為により無事舞納めることができてホットした瞬間でもありました。
我々神楽師を悩ませるのはこういったアクシデントなんですね。