祭の前当日

 法印神楽は、通常各地区ごとの神社の例大祭に奉納されます。
 通常先日より準備が始まり、神社の清掃後「宮守」と呼ばれる家の庭先に神楽舞台が組み立てられ、夜には神社に参拝し前夜祭を行います。なお、宮守が途絶えている場合などは神社境内に舞台が設置されます。
 宮守は、舞台設置だけでなく座敷を神楽の楽屋としても提供したいます。その家系をたどってみると、いずれも当地を切り開いた時代に中心的な役割を果たした旧家なようです。基本的に、宮守は世襲によって受け継がれ他の家がこれを継承することはできません。例大祭の日には地元、近隣の主たる役員を招待し、料理が振る舞われそれら一切を仕切るのが「亭前」と呼ばれる係であり、その費用はその地区の区費、浄財があてられます。

 当日の朝は、まず神社に参拝し、神輿がある地区は神輿渡御が行われ、通常正午頃を目途に宮守(神社)に一端納め、湯立ての神事が行われ神楽の奉納が始まります。
 神楽は、通常「初矢」から奉納され夜神楽は「道祖」から奉納されます。後は特に順番はありませんが、必ず「岩戸開」を奉納しなくてはならないことになっており、最後は「ちらし」にて納めとなります。「岩戸開」を奉納しないうちは、御輿の神社への還幸(かんこう)をしないというほど、本町では、もっとも重要な神楽です。
「ちらし」とは「散らし」のことらしいです。当日の最後の演目のあと面(おもて)をはずし舞台を清める舞のようです。
獅子がしらをまわして終わる地区もあります。

以上が一連の祭りの流れの私自身の解釈です。


神楽師の前当日と補足

 神楽師は前夜祭の神事の補佐をします。基本的に2名で神事の進行補佐や笛太鼓の音調を担当します。これに参加できるのは神楽師の中でも音調ができる者のみで、役付きの師匠クラスが担当します。正味30分から1時間位の神事です。
 当日も同じで、神事の補佐や音調を担当します。(これを神楽師の中では「お山にいく」と表現します。)
 宮守に到着したら、湯立ての神事が行われますが、このときは、会長が湯笹を振る役及び進行補佐をし、幹部クラスが笛太鼓の音調を担当し、若い者が釜の火付けを担当します。
 これらの役がないものは、楽屋にてその日使用する装束の準備をします。竹を主とする小道具はこのとき作成されるわけですが、伝統を汚さぬように師匠クラスが監督指示し、全員で作成します。
 前記しているとおり、初矢や道祖から舞は進行しますが、舞手がある程度のレベルに達していると、2つある太鼓(胴)の内一つには比較的若い神楽師を座らせ、音調を盗む機会を与えてくれます。ある程度予習ができていないものは、兄弟子に後ろから肩をたたかれ交代されてしまいす。実践の中にのみ究極のチャンスがあるので若手は必死だったりします。


 雄勝法印神楽の奉納される神社と日程

地 区 神 社 名 日  程
船越地区 船魂神社 旧暦2月18日
大須地区 八幡神社 旧暦3月15.16日
熊沢地区 五十鈴神社 旧暦3月16日
桑浜地区 白銀神社 旧暦3月19.20日
立浜地区 北野神社 旧暦3月25日
大浜地区 葉山神社 旧暦4月8日
下雄勝地区 熊野神社 4月19日
明神地区 塩釜神社 4月25日
荒地区 熊野神社 4月29日
名振地区 山祗神社 9月19日
小島地区 熊野神社 10月15日
水浜地区 作楽神社 10月17日
雄勝地区 新山神社 10月19日
分浜地区 五十鈴神社 10月21日

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