2003年9月 神楽大会の巻

 今回は桃生牡鹿神楽大会でのことを書きたいと思います。・・・・

 神楽大会前日のことです。出演者の方々がの日程がとれず、私一人で準備することになりました。
 私たちが普段使用する神楽道具はだいたい、面、ザイ、衣装等、保存可能等な道具は大浜の宮司さん宅に保管されています。大きいお茶箱で2つ、天冠・錫杖など、貴金属を入れている箱1つ、使用頻度の低いもの用の透明ケース1つ、音響設備、などです。
 鉾等は通常は、祭典のある地区で竹を準備し、私たちが細工します。
 
 今回は神楽大会ということで、音響以外を準備します。当初私は、一番舞う分だけの道具を持って行けばよいから、一人で楽勝だ!とたかをくっていました。・・・・・そこから思わぬ悲劇がはじまったのです。

 今回の演目は、岩戸開です。スサノウノ尊の乱行に心を痛め、天照皇大神が岩戸開に籠もってしまい、みんなで相談協力してやっとでてきてもらったという舞なのですが、雄勝法印神楽の中でも出演者が多い演目なのです。・・・・・ということは、道具が多いということなんですねぇ。
 とりあえず、全部箱から出し、出演者別に分けてみて再度箱詰めしました。結果3時間30分もの時間を要してしまったのです。
 なぜか?それは、基本的に無駄な道具を入れないでお茶箱2つ以上な訳です。っということは、箱の中から使用しない面以外全部が必要な道具だということになり、移し替えをしただけという、悲しい結末を迎えたのでした。もっとも、面だけで、30面くらいあるので、それだけで箱1つとなりその分道具は減ったわけなのですが、あの手間を考えれば全部もっていきゃぁよかったかもしれないです。
 
 さてさて、そして大会当日を迎え、若さあふれる?私たちは控え室で鉾を振り回し遊びつつも型のチェックをしていました。その時見知らぬカメラマンがきて「一枚とりましょう」というので、どうせ大会の実績記録だろうと思い撮影して頂きました。
 いつも面をつけているのでちょっと恥ずかしかったのです。

 いよいよ出番です。私の役柄は天津神、荒型の出がかりだけであっという間に終わってしまいます。見せ場が少ない分だけにちょっとでも間違えば取り返しがつきません。今回私が使用した面は、荒型の口あき面の中で一番視界が狭く一番重いものです。ぱっと見て栄えないのですが、衣装とあわせ付けるとなぜか生きて見える面です。
 しかし、結果からいうと面を生かしきれませんでした。
 狭い視界に気を奪われ無駄に顔が動いてしまったのでした。どっしり重厚に見せなければいけないところで、きょろきょろ顔が動くってことはもう致命的ですね。自分的にへこむんだろうなぁ・・とおもっていたのですが、今回は、なぜかへこみませんでした。むしろ後から先生方に指摘されたところと、自分が悪いと思ったとことが一致しより一層練習に励む糧ができたような気がして、意欲が沸いてきたのです。芸事は不思議だなぁっと思える一日でした。
 
 翌日、二日酔いの頭をかきながら新聞を見ました。ちょっと片隅にでも載ってるかなぁ思って紙面を開いたらびっくり、自分が、のってるじゃあありませんか。しかも素顔で、、、、、そうです、たぶん記録用だと勝手に思いこみ撮影して頂いた写真が、でかでかと紙面を飾っていたのでした。・・・・主役よ、ごめん・・・・・・・
                                           おわり


 

天津神です。
 







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