2005年  4月23日 決意も新たに!大須例大祭の巻


 今年は年明けから悲しい大事件がありました。
 1月はじめに私が神楽を習うきっかけとなった師匠が残念ながら逝去しました。病の床に伏して約7年、辛く苦しい闘病生活だったと思います。
 私はこの「じっち」が大好きで、自分の家のようにかよっていました。勝手に冷蔵庫を開けては牛乳の飲み干し、つまみ食いをし,神楽のうんちくを聞く。約20年続いた普通の出来事。・・・今思えば楽しかったひととき・・・故人は天才肌で、言われていることがわからないことが事が多々あり,よく喧嘩もしました。
 私の目標,「じっち」が生きている内に,俺の神楽を「うまい!!」と言わせてやる。は,残念ながら実現できずに終わってしまったわけです。

 さて、神楽のHPにふさわしくない前置きを書いてしまいましたが、今の私は決意も新たに頑張ろうっという気持ちでいっぱいです。
一年間喪にふくすか?などと考えていたとき、ある先輩が師匠が亡くなったのは旧暦で言えば去年でしょって言うんです。祭りは旧暦が基本!!なので旧暦で新たな年を迎え心機一転頑張るべし!!と言われ、良き仲間・先輩に恵まれた事に感謝感謝です。
 今年は4月23日が大祭です。ちょっと寒かったのですが天気は上々でした。白装束できめていざ出発、この服に袖をとおすと何故かだらしのない私でもピシっと引き締まります。胸を張り、姿勢を正して歩く私の姿に、悪友達は「あれは絶対別人だ」と茶化します。私もそう思います。(笑)

 今年は諸事情があり1日だけの祭典となってしまいました。なので、中身のある祭典にしなくては・・・と気合いが3割り増しでした。神社に行き、その日にしか会えないような仲間達と毎年のように近況報告をしていたとき、御輿渡御の笛の先輩が話しかけてきました。「あのさ、もしかして神楽のHP作ってない?音のでるやつ」って聞かれました。「実は・・・作ってます。」と答えたら「やっぱりなぁ」っていわれ、マイナーなHPも徐々に知られつつあるんだなぁって思い、とっさに「更新遅くてすみません」ってあやまっちゃいました。
 とても、良い音色の笛を吹く先輩で、地元に就職口があったなら絶対神楽師になっているだろう人物です。私の知る限りこういった人は各地区地区に1〜3人はいます。そんな中、幸運にも好きな神楽を学べる環境にある自分は幸せだなぁってつくづく思います。
 順調に神事が進み御輿渡御が始まります。例年より若干少なめの担ぎ手でしたが、そこは百戦錬磨の猛者です。素晴らしい担ぎ方でした。

 宮守に到着し、湯立てが終わり神楽が始まります。今年は子供神楽が3番です。実は、今回はちょっと事情があり、2度ほど稽古を手伝いました。その関係もあり(がんばれよ)って気持ちでいっぱいでした。・・・・・・・・・その時、中心となって子供達に教えてた先生が私を呼び「笛吹け!」っていうんです。まだまだへたくそな私の笛、本来なら出る幕ではないのですが、そこは先生の浪花節でしょうね、稽古を手伝ったご褒美でしょうか?(私にとっては試練以外の何物でもない)思わず「私の笛でよければ・・」とついいってしまい子供神楽全部を吹いてしまったのです。(汗)いやーへたくそだった・・・子供達ごめんね舞にくかったろうなぁ・・・本当にゴメン

 かくして舞台は進み、いよいよ出番です。今年は岩戸開・五矢・魔王・蛭児・鬼門・日本武尊でした。うち、

 ・岩戸開  手力男(主役)ちょっと事件
 ・魔王    もちろん魔王その3
 ・蛭児    もちろん買い付け役
 ・日本武尊 何と尊役でちらし付き(主役)大事件

 でした。魔王と蛭児は毎度の役柄なのでそこそこの舞ができました。ちょっと事件の岩戸開はしばらく稽古ができなくて不安でいっぱいでした。いよいよ出番です。素晴らしい太鼓そして笛の音色(ああっ自分の情けない笛の音が頭をよぎる)に乗せられて、舞がピシッピシッときまります。先輩が舞っている悪者を成敗し(ああ・・・何か罪悪感)無事終了しました。
 さて、鬼門も終わり後は出番は無いだろうからと思い道具でもしまうかなぁって思っていたその時、「○○、次は日本武尊の尊ね」っていわれたので、「はいはい。了解しました。」と、どうせ冗談だろうと思い適当な返事をしていたら、「早く着替えろよ」って真顔でいわれ、冷や汗タラリ・・本当に自分でいいの?なんて思いながらも流されるまま仕度させられ、もう引き返せない自分は心臓バクバクです。んーでも地元だし間違ったらごめんなさいだなぁっとちょっとだけプラス思考で自分を落ち着かせました。
 実はもう一人心臓バクバクな人間がおりました。一番年の近い先輩です。主として女形を舞っている人で、今回は悪鬼役す。彼はこの役を何度もやっています。青年文化祭で全国にも出場しました。しかし、舞台の十文字には未だかつてあがれていないのです。やっぱり見せ場、祭りでは避けることが出来ないこの試練、状況は私と一緒、みるみる仕度が完成し、出番です。この先輩がこんなに緊張しているのは初めて見ました。いつもは典雅な舞も緊張でカクカクです。頑張って舞おうとしているのに極度の緊張に体がついてこないまま一幕終了。自分の出番です。皮肉なことに、先輩の緊張している様子が私をリラックスさせてくれました。型も決まりカンナギも無事にこなせました。あとは、舞台上で先輩ふんする鬼女の出番を待ちかまえます。
 太鼓の音とともに先輩登場、さすがに十文字で立ち上がるまでは行きませんでしたが、見事登りきりました。順調に戦いが進む中先輩の足がはずれ予定よりはやく地上に落下・・でも舞は何事も無かったかのように進みます。何とか成敗し、お互い肩をおろしました。後はチラシです。高揚しきった私は、気づけば半ばトランス状態になりながら舞っていました。
 楽屋に帰った私は先輩方の本日一番の暖かい拍手で迎え入れてもらえました。

 神楽部に入って一番の感動した大切な一日になりました。(おわり)







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