2004年4月 明神祭典の巻
4月30日今日は明神地区の祭典です。今年は旧暦の関係で4月に祭りが1つしかありませんでした。
それが今日の明神塩竃神社です。
実は今回デビューを飾る新人がいるのです。自分にも経験がありますが,あの緊張感を味わうんだなぁと思うとちょっと楽しみです。それと同時に私に初矢の出番がほとんど回ってこなくなると言うことでもあります。ついに脱新人できるのです。
新人君がきたので,祭りが始まる前に舞台につれて行きました。案の定「うわー狭い@@絶対落ちる」と絶叫してました。そんな光景を初めて見ることができ妙にほほえましい感じがしました。さて,楽屋に入り着替えます。白衣を着た新人君は自分の姿を鏡に移すと顔中笑顔になりとても喜んでいました。(こいつは辞めそうもない新人が入ったな)と思いました。いわゆる神楽バカです。白衣を着ることに喜びを感じるような人間はそうそう辞めないに決まってます。私も嬉くなりました。っと同時にライバルが出現したことに対するちょっとした焦りを感じました。
あいにくの強風の中,新人君の初舞台が始まります。見ている方が緊張します。
この初矢という神楽は今思うと,特に難しい動作が出てこない基本的な舞なのですが,新人にとってはとても難しいのです。神楽はパーツパーツの組み合わせで構成されています。
四方切りとか巻き鉾とか手出しとか・・・(その他複数あり)名称がついているのですが,なれてくるとそのパーツパーツの名称を言われただけで舞ができるのです。初矢は言うなれば,基本となるパーツの名称とその動作を覚える舞だと思うんです。
なので,新人には難しいって事を最近認識したのでした。
無事舞終え新人が楽屋に戻ってきます。私の初舞台同様,すぐに次の神楽え連れて行き一緒に四天を舞います。いつもは自分のペースに合わせて舞っている四天ですが,今日は新人君の舞のペースに合わせます。何とも不思議な雰囲気の中で舞が進行します。
無事に終わって楽屋でホット一息ついてると,新人君が「ごめーん」っていってきたので,「あ?」っと返事をすると「何回も(私たちに)ぶつかってしまって,ごめん」と言葉を付け加えました。
同じ立場だと私は思っていたのですが,やはり新人君からすれば先輩や兄弟子に当たるわけで,どうやら相当に気をつかっていたようです。
・・・・ちなみに自分にはこんなピュアな頃がなかったような・・・
さて,新人の事ばかり気にしていた私にも新たなる試練が・・・・
祭りの進行の関係上途中から二人先輩がいなくなり,楽屋が広く感じてくつろいでいたときの事でした。
「そこに座って笛を吹け」という指示が下り笛を吹く羽目に・・・ちょっとずつ練習してはいたけれど本番で吹けるレベルには到達していない私をよそに,先輩はたばこに火を付けました。「他に先生がいるじゃないで・・・あっ!!」今日の笛の奏者は全部で3人。さっき出て行った先輩の一人が笛吹で,もう一人が太鼓に行っているってことは,控えはいないということで,今目の前でたばこを吸っていらっしゃるから口がふさがっている訳で・・・・・・・・・・・・・・・・椅子にすわって笛を構えたら手の震えが止まりませんでした。5分吹いた後,リタイヤ宣言をし,はーっとため息をついていたら,「4年目であれだけ吹ければ上等だ」と励まされました。当然自分では不満でタラタラでした。っと同時に,たばこ吸った先輩の意図が見えてきました。いわゆる試練ではなく,試験だったと思います。もっと努力しなければだめだよ!!って言い渡された気分でした。本番で吹けるレベルではないと認識していたら本番で吹けるようになるまで練習しろということなんだと思います。
反省と目標が明確になった1日でした。